–在宅医療からみた今後の通所介護の方向性–と題しまして平成28年3月27日にコンベックス岡山にて、大規模研修会を開催いたしましたので、ご報告いたします。
第1部は、 ウェルフェア―・J・ユナイテッド㈱より医療介護コンサルタント:谷本氏を講師に迎え「地域包括ケアシステム」の目指す具体的な将来像の話をご講演頂きました。 その一部をご紹介いたします、 医療や介護の複合的なニーズを持った高齢者、サービス提供主体ごとの重複するアセスメントや事業者ごとに異なるケアの方針の不一致に、適切なケアを受けていない現状が見受けられており、この適切性を判断する機会は少ない状況。 そして、これらのサービス調整のまずさで結果的に重複が生じ無駄な費用も積もってきている。そのために、ケアサービスの連続性と統合を向上させるべく、そのプロセスとして、ケアの質・アクセス・効率性を改善するための統合ケアを、行政単位内で構築して行こうというもの。そして、医療費の効率化・医療費がかからなくなる状態を達成させるための仕組みを目的とするシステムであると…。 2018年または2021年で介護保険給付者の対象を要介護3以上に絞られたときに、我々が対応できる力を持つために、今のうちから事業戦略と体制を整備すべきであり、「通い機能」のみでは戦えなくなる時が来るかもしれない…。今後は、重度者に対応可能な通所介護、高齢者だけではなく障害者や児童も含めた通い機能の事業化などの展開も必要かと。このような新時代に向けた通所介護事業の多機能化・複合施設化が大切であるとの内容でした。 第2部は、「訪問診療クリニックからみた通所介護事業所に求めるポイント」と題して、医療法人つばさ つばさクリニック 理事長 中村幸伸先生」にご講演頂きました。現在、当法人の訪問診療の対象者は、1割が経管栄養(4~50名)、在宅酸素、悪性腫瘍、ストーマ、バルン留置、慢性疾患、その他2013年より小児科医勤務から小児も可能に。クリニック全体では人工呼吸器を装着している小児から100歳を超えた高齢者まで年齢層も幅広く、高齢者の平均年齢82歳、平均介護度3.2と要介護4や5の方が多いとの事です。 地域包括ケアシステムにおいて、「住み慣れた地域でその人らしく暮らせる支援」を行う中で、最期の場所は1952年頃(60年前)は8割以上が自宅でした。近年8割が病院で最期を迎える傾向に変化。これからの最期の場所は、医療機関の入院期間の短期化も合わせ益々低下し、自宅や施設及び高齢者住宅を希望する傾向にあります。医療が進歩しても、積極的な延命処置を望まない方が増えています。中でも慢性疾患や悪性腫瘍の方などが在宅で緩和ケアや看取りを希望が多くなり、最後の日まで在宅で過ごすために訪問看護や訪問介護、通所介護を利用したい。家族も支え合う場所や時間が増えることで、在宅生活が1日でも長く過ごせる機会はできる。
今までの訪問診療を通じて、通所介護事業者に求められる課題としての具体的事例を用いてご教示くださいました。例えば、93歳女性/加齢障害/認知症の方、経口摂取困難となり、家族は自宅での看取りを希望。週3回点滴後の日を通所介護利用していたが経過中には呼吸低下などもあった、経口摂取は食べたいもの食べたい量で支援していたが、徐々に経口摂取が増えて、通所介護利用が継続できている。「食べれない時期でも支援できるデイが重要」。他の在宅生活の方では、高カロリー輸液を行いながら喀たん吸引等で家族の介護負担が大きい、また、糖尿病・腎不全・両足切断の方、インスリンや服薬管理ができず、足の切断部の潰瘍もあり処置も必要な方。月2回の訪問診療、週3回の訪問看護で潰瘍の処置とインスリン及び服薬確認、週3回の通所介護にてインスリン及び服薬確認を行い症状安定して在宅生活継続できている…など。 このように、医療依存度のある方の在宅が増えてくる。これからは、「医療行為や状態観察できるデイ」が重要。在宅医療は「キュア」ではなく「ケア」世話や介護、看護、医療が協力し合って、「本人らしく生活してもらうために、病院とは質の違うケアを行いましょう。」「自宅や施設で生活する良い点を伸ばしていきましょう。」と熱く語っていただきました。 また、つばさクリニックでは、在宅医療や病気については、多職種向けの出前講座やつばさクリニックホームページには定期勉強会も開示しておりますので、ご相談くださいとのことです。
つばさクリニック:http://www.tsubasa-clinic.net/ つばさクリニック岡山:http://www.tsubasa-okayama.net/ 今回この大規模研修会にご参加された皆様は、大変重要な戦略課題やヒントを学ぶことができたのではないでしょうか。また、当協議会の賛助会員の方々もブース出展して頂きまして中身のある有意義な研修会となったように思います、誠にありがとうございました。
広報委員より
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